本の題名 |
感 想 |
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渡辺博子の婚約者、藤井樹は二年前に登山中遭難事故で亡くなった。ある日偶然博子は樹の中学生時代の住所を見つける。ほんのいたずら心から、博子はその住所宛に手紙を送った。「拝啓 藤井樹様」と。その住所は、今は国道ができていて届くはずのない手紙だった。もちろん返事が返ってくるはずもない。しかし、博子のもとに「藤井樹」と名のる人物から返事が届いた!わけがわからない博子だったが、またその「藤井樹」に手紙を送るとまた返事が来た。そうして幾度も文通しいるうちにその「藤井樹」の姿が明らかになってくる。そして自分の知らなかった婚約者の過去も知る事になる。見知らぬ「藤井樹」とのやりとりが、知るはずのなかった婚約者の青春時代を鮮明にしていくちょっとミステリアスだけど、青春時代の仄かな思いが伝わってくる一冊。1995年に映画になった小説ですね。 映画は見ていませんが、主人公の博子役を中山美穂さんが演じていたようです。読んでいても私の中の博子像は「芯の通った女性」という感じだったので中山美穂さんはぴったりだと思います。キーパーソンになる文通相手の「藤井樹」はとっても元気いっぱいの勝気な人っていうイメージを持ちました。私の中では「上野樹里ちゃん」が浮かんだのですが、どうでしょう・・・。見知らぬ人との文通はちょっとドキドキしますね。今は顔も知らない人のWebに遊びに行って情報交換ができる時代ですが手紙が届くっていうのはメールとはまた違ったワクワク感がありそうです。 |
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「ぼくの記憶は80分しかもたない」・・・背広の袖にそんなメモをクリップでとめた「博士」と、博士のもとで働くことになった家政婦とその息子「ルート」の物語。80分しか記憶がもたないのに、博士の口からは次々に数式が溢れ出て、その数式は特別な意味を持つ、美しいものだと気づかされる毎日。二人は博士を喜ばせようと、博士の好きな阪神タイガースの江夏投手のカードを探し始めるが・・・。 数学の苦手な私にはとっても難しい数式が出てきて、何度も読み返したりしました。でも理解して読むと「お~・・・」とカンゲキしている自分がいました。数学って楽しいものだったんだ~と改めて感じました。学生時代にこの本を読んでいたら少しは数学の成績上がるようにがんばったかな? |
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中学に入って間もない女の子「まい」は、どうしても学校に馴染めず、西の魔女のところでひと月あまりを過ごしました。西の魔女・・・それはまいのママのママ、大好きなおばあちゃんのことです。おばあちゃんと過ごす初夏の季節にまいは魔女になるためのいろんなことをおばあちゃんから教えてもらいます。魔女になることは、魔法を使えるということではなく、人生を豊かに生きること。そんなある日事件がおきます。おばあちゃんの飼っている鶏がなにものかに襲われて死んでしまいます。それはあまりにも残酷な風景でした。「死んだらどうなる」というまいの質問におばあちゃんはいかにもおばあちゃんらしい答えを教えてくれます。そして、おばあちゃんが死ぬとき、その証拠をまいに残していくと約束します。おばあちゃんはどんな方法で証拠を残してくれるのか・・・それは読んでのお楽しみ。 物語の中でおばあちゃんがまいに教えることは日常の当たり前のこと。でもその当たり前のことがなかなかできなかったりするんですよね。 おばあちゃんの話す一言一言がとても心にしみわたり、そんなふうに生きられたらいいなと思いました。おばあちゃんの残したまいへのメッセ-ジが書かれたラスト3ペ-ジは泣いてしまいました。 |
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半日村は何故「半日村」と呼ばれるのか、タイトルを見ただけでちょっと興味をそそられる本です。 物語の最後に「一日村」と呼ばれるようになるのですが、その過程にみんなで力を合わせることの大切さや、ひとつのことを続けていくことの大切さ、はじめはちっぽけな力がやがては大きな力へと発展していく可能性など、様々なメッセ-ジが込められています。 |
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金子みすゞが26年という短い生涯の中で残した詩の数々です。 すぐに覚えられるようなシンプルな言葉、一度覚えると口を突いて出てくる独特のリズム、それでいて「なるほど」と頷かずにはいられない 説得力・・・。 一度・・・でなくても二度も三度も読みたくなる、味わいたくなる三冊です。 そして、読むたびに何か心を潤すものがす-っとしみ込んできて、静かな 穏やかな気持ちになります。味わうたびに、この豊かな国では忘れがちな物を大切にする気持ちや 弱い物を守る思いが身体の中に満ちてきます。 タイトルにもなっている「わたしと小鳥とすずと」という詩は 小学校3年生の国語の教科書にも載っています。こんなすてきな 詩に出会えるチャンスがあるなんて今の小学生は幸せだと 思います。 大人だけでなく、親と子が一緒に楽しめる詩集です。 秋のさわやかな青空を見上げて、みすゞが見た、感じた、すばらしい 世界を覗いてみませんか? |
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