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豆の上で眠る |
一見したところ、「どういうこと?」と突っ込んでしまいたくなるタイトルです。
「王子様は本物のお姫様と結婚したいと思っていました。
ある嵐の夜、ボロボロの身なりの少女が王子様の前にやってきます。
少女は自分が本物のお姫様だと主張するので、お后は確かめてみることにしました。
ベッドに豆を置き、その上に何枚も布団を敷いて少女を一晩寝かせ、翌朝お后はよく眠れたかどうか訊ねました。
少女は『布団の下に何か固いものがあったのでよく眠れませんでした』と答えました。
お后は少女が本物のお姫様だとわかり、少女はめでたく王子様を結婚しました」
なんとも不思議なアンデルセンの童話「えんどうまめの上に寝たお姫様」が、この物語の重要なキーとなっています。
仲良し小学生姉妹の万佑子と結衣子。
万佑子は妹の結衣子にいつも本を読んであげていました。
「えんどうまめの上に寝たお姫様」もそのうちのひとつでした。
結衣子にとって優しくて憧れの存在だった姉・万佑子は、ある夏の日、突然行方不明になります。
両親や祖父母、近所の人たち、そして警察の必死の捜索も甲斐無く、万祐子の行方は分からないままでした。
ところが事件から2年経ったある日、ひとりの少女が近所で保護され、両親や祖父母は「万佑子が戻ってきた」と喜びます。
でも結衣子には、どうしてもその女の子が万佑子だとは思えませんでした。
DNA鑑定の結果、間違いなく両親の子供だと証明されていても、「本物の万佑子ちゃんじゃない」と疑う結衣子。
戻ってきた少女は「本物の万祐子」なのか・・・。
物語のラスト十数ページで真相が次々と明らかになり、ページをめくる手が止まらなくなりました。
そしてエンディングで、「えんどうまめの上に寝たお姫様」について感じたことと同じことが結衣子の口から語られていて
読み終わったあとも、そのセリフが静かに心に焼きついています。
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