 空飛ぶタイヤ |
赤松運送のドライバーが運転するトレーラーからタイヤが外れるという事故が起きた。
タイヤはあろうことか近くを歩いていた母と子を直撃。
幸い子どもは軽症で済んだが母親は亡くなった。
トレーラーの製造販売会社・ホープ自動車が出した事故原因は「赤松運送の整備不良」ということだった。
その結論に納得できない赤松運送社長・赤松徳郎は真実を探るため、ホープ自動車という大企業に挑んでいく。
それを阻もうとするホープ自動車、「容疑者」という目で見られ周囲から孤立する家族、会社の経営の悪化・・・。
様々な問題に立ち向かい、真実を掴むために戦う男の姿を描いた作品。
大きなタイヤが直撃して人が亡くなるという、とても痛ましい事故がテーマになっているのですがそれでも読み終えたあと、静かな感動がじわーっと胸にしみこんできました。
大企業の様々な部署の様々な社員、被害者の家族、警察、取引先、銀行・・・赤松運送に関わるたくさんの登場人物が、それぞれの思惑で策略を練り、押したり引いたりの駆け引きにハラハラしました。
「半沢直樹」を思わせる、独特の世界です。
そんな中で社員のため、家族のため、決して諦めない赤松社長の姿は、読みながら応援してしまうほどでした。
この本を読んで以来、出かけたときにトレーラーが走っていると思わず車体に書かれた会社の名前を見てしまう私・・・。
「赤松」と書かれた車両は見たことがないけれど、ふとこの物語を思い出すのです。
それほど私は「赤松」という人物が心に残ったのですが、私より先に読んだ夫は違うようです。
私がこの本を読んでいるのを見て「お、沢田が出てくる話や。」と言っていました。
沢田という人物、赤松が敵に回すホープ自動車の社員で、キーパーソンと言える大きな存在なのですが・・・。
会社員と専業主婦・・・読み手によって注目するところは違うものだなぁと、発見がありました。
この作品はドラマ化もされているようなので、そちらも見てみたいなぁと思っています。
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