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カッコウの卵は誰のもの
カッコウの卵は誰のもの
トップスキーヤー緋田宏昌は妻の死をきっかけに、一人娘の風美が彼の実の子ではないことを知った。
悲観しながらも、娘を立派に育てることが妻への供養になると信じた緋田は、引退したあとスポーツクラブのコーチをしながら風美をトップスキーヤーに育て上げた。そんなとき2人の前に一人の科学者柚木が現れる。緋田は柚木から「あなたの娘さんは運動能力に長けている遺伝子のパターン”Fパターン”の持ち主だ」と知らされる。そして柚木はFパターンが父親から受け継がれたものだと科学的に証明したいのだと言う。協力を頼まれるが、引き受けるわけにはいかない緋田。彼は独自に風美の出生の秘密を探り始める。また柚木も緋田親子に関する情報を集めているうち、徐々に真実に迫っていく。
少し前に紹介したプラチナデータに続き、このお話も「遺伝子」がテーマになっています。やはり才能っていうのは決められていて、すべては遺伝子に寄るものなのでしょうか・・・。
カエルの子はカエル・・・と言いますが「カエル」の子でない風美さんが、「カエル」に匹敵する遺伝子を持っていたことに関わるからくりには驚きました。東野圭吾さんには改めて脱帽です。
それでも、風美さんが本当の子どもではないとだと知りながらそれを隠し続けて、男手ひとつで立派に育て上げ守ってきた緋田さんの愛情は血のつながりとか遺伝子とは全く関係ないところにある、とてもとても温かいものだと感じました。
どんなに科学が発達しても、それだけでは証明できないものがある・・・遺伝子って一体何なんだろうと更に謎が深まった気がします。
ところで、このお話のタイトルに何故「カッコウ」が使われているのか・・・と、とても不思議だったんです。スキーヤーが登場するお話なら、他の白いスマートな鳥の名前でもいいんじゃないかと思ったのですが・・・。
読み終わってみるとカッコウでないとダメな理由がよくわかります。
そのあたりも見所(読み所)です。