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モンスター
モンスター 一重まぶたの薄い目、低く横に広がった鼻、出っ歯で、エラも張っている・・・その容貌のせいで、家族を含め、周囲から冷たい態度をとられ続けた少女、和子。
大人になって彼女が出会ったのが「美容整形手術」。
目を少し整形しただけで、周囲の注目を浴びる。「美しくなること」に目覚めた和子は、莫大な金額と長い年月をかけ、鼻、歯、あご・・・と数限りない手術を受けた。そしてとうとう、町でも振り向かれるほどの絶世の美女「未帆」へと生まれ変わった。
ある日未帆は学生時代に思いを寄せていた英介と再会する。美しくなった姿で未帆は英介に近づいていく・・・。


「美しくなりたい」「若々しくありたい」と思わない人はいないでしょう。
子どもの頃「小さいときブスだった子は大人になったら美人になる」なんていう迷信を心から信じていたし、学生時代には「パッチリ二重瞼になりたい」と思ったり、整形にだってちょっぴり興味はありました。勇気はなかったけれど。
大人になるころまでに、迷信は迷信だったと気づき、一重瞼もしぶしぶ受け入れ、現在に至るという感じです・・・。今は「とりあえずシワが無くなれば・・・」なんて淡い期待もありますが、これも受け入れていかねばねぇ(笑)
この物語に登場する人物の1人が「内面から美しさがにじみ出るなんていうのは嘘だ」と言っています。確かにいくら他人に優しくしても、勉強や仕事をがんばっても、二重瞼にはならないし、鼻も高くならないですよね。でも、物語の中にはこんな一文も出てきます。「美しさ=完璧 ではない」と。いくら目と鼻と口の比率がいいバランスでも、そんなお人形のような顔は本当に魅力的とは言えないのだと。
やはり顔には、その人の考え方、行動、習慣、などが表れて、その人の個性が出てくる・・・それを含めて「美しさ」が作られているのだと思います。俳優さんやアーティスト、スポーツ選手、すぐ身近にいる人たちの中にも、輝いている人、美しい人はたくさんいて、そういう人たちは間違いなく「努力」を欠かさない人たちです。ついついラクを選んでしまう私・・・そういうとこも顔に出てるかもしれません(笑)

この物語はハッピーエンドではないのですが、外見は美しくなれても、内面にある辛い過去を消し去れなかったが故の結末だなぁと思いました。
作者の百田尚樹さんは以前テレビで「知りたいと思ったことはとことん調べます」とおっしゃっていました。そのとおり、この物語には整形手術のあらゆることが書かれていました。勉強になりました。二重瞼に憧れて、整形したら美しい瞳になれるかなとぼんやり考えていたあの頃に、この本を読んだら腰を抜かしたかも・・・。
百田尚樹さんの本は他にもいろいろ名作があるそうなので、これから読んでみようと思います。